フルーツバスケット 高屋奈月

フルーツバスケット 第23巻 (花とゆめCOMICS)

フルーツバスケット 第23巻 (花とゆめCOMICS)

ttp://d.hatena.ne.jp/kaien/20080630/p2
の、「『フルバ』と比べると、根っこのところがシビアでリアリスティックだ。」
のところにものすごく反応してしまったのですが。最後のあたりの話っぽいので、フルバの最後について一つ。


当然ながらネタばれで。
フルバのラストについてシビアだなあと思うところは、今日子さんがどんなことを思って「許さない」と言ったのかが夾くんと透くんには分らないままであることです。
その理由について作中では明かされますけど、あれは読者に優しいだけであって、登場人物である彼や彼女に対して優しいわけではない。既に死んでしまった人の思いを外部から知るということは決してできないという意味において、現実だなあとか思うわけです。


そして、透くんは今日子さんが言った言葉は憎しみから生まれた言葉では「絶対」ないと言うのですが、これは難しいことだと思います。別に透くんは、今日子さんが夾くんのことを恨んで言ったという可能性を考えないわけではなくて。その上で、あくまで強くこう言い切って、「…私 譲りません」と言う。
これって、意志的に「信じる」ことだと思います。全くリンク先の通りなのですが、「にもかかわらず信じる」。この状態はおそらく解消されることはなくて、この先このことを思い返す度「信じる」必要があるでしょうし、夾くんもずとこのことを抱えて生きていくのだと思います。


うれしいことやかなしいことを繰り返してという、この作品が好きだと改めて。