ノーゲーム・ノーライフ6 ゲーマー夫嫁は世界に挑んだそうです

面白かったです。これである意味番外編だからたまんないですね。


僕が作品を見る基準として、その作品の考え方、コンセプトがどれくらいその作品を貫いているかというのがあります。
そういう意味で、この巻は作品を統括しうる巻でもあって。
今は負けても次で、そこで届かなければさらにその次で勝つ、一つでも踏み外したら終わりの駆け引きを当然のような顔をして渡り切る、弱さを持って強さに勝つ、一人では届かないことを二人でなら、などなど。


キャラクターの描き方としても総括的ですよね。エルフのシンク・ニルヴァレンの口調であったり、「成長しない」フリューゲル、その中にあって例外的なジブリールであったり。「ジブリールのこと、嫌いにならないであげてください」とあとがきで書いてますけど、そもそも趣味のためにシュヴィを襲ったことを除けば*1、たった一体の機凱種であるシュヴィに天撃を使うほどに彼女のことを認めたという「未知」への片りんを見せていたりします。最弱に対する最強を描いたことも含めて。

「なぁ、シュヴィ‐もし俺とおまえ、二人で一人だったら、さ……」

番外編のように構成しつつ、空と白をイメージした偽史であるというのも、上手いです。この世界に生まれ変わりはないということで直接的な因果関係は切りつつ、偽史として語ることにより、この作品の主人公である空と白に隣接させつつ描いています。アニメの最初でこの世界に生まれ変わらせてくれてありがとうというような描写がありましたが、そんなイメージもあるのかなと思いつつ。


三巻で成長しない、完成しているという描写がありましたが、だからこそ二人、そしてそれ以上の「ひと」達の力を合わせて、「みんななかよく」世界統一、そして、テトとのゲームに取り組む。
予告の「ふたりでもまだ足りなかった」「”俺ら”で証明してやる」という言葉で、この作品のさらなる広がりを感じて、それが描かれるのを楽しみに待ちたいと思います。

*1:やっぱだめかも…