作者自ら自作について語ってしまうことに関して

作者が自分で作品について語ることの問題点というのは、それがその作品に対する意見として強すぎるということがあると思います。
作者であってもそれを書いた後に語る際には一批評家であるに過ぎないという意見は一面では正しいと思いますが、全面的には賛成できなくて、作者なのだから(少なくとも)作者によって意図されていることは分かるはずだということと、その作品についてどれだけ触れたかも不明な一読者よりも、その作品を書いた作者が語る方が信憑性があるなどの理由のため、作者は明らかに優位にあると思います。
その優位性のために、例えば読者と作者でその作品に対して対立する意見が出た時に、読者の意見が勝つことは難しく、読者が誤読したというのが適切だということになってしまいます。そのために作者による読解が一段上になるため、作品の読解が一義的なものとなってしまいます。
これに対し、読者同士による読解ならば、どちらが優位かということはそれほど大きな差がつかずに、それが作品に沿っているならば、例えその双方が反対意見であったとしても、どちらも並列のままであることが可能です。


ということで、作者がその作品の重要なところについて自ら語ってしまうと誤解の余地がなくなってしまうし、そういう「正しい」*1意見にはついつい引っ張られてしまうかな、とか思います。
僕は作者のインタビューとか作品を考える上でヒントになるので結構注意してみてますけど、上のようなこともあるんで、作者は自分の言葉の強さというものに注意した方がいいのではないかなとか。

*1:影響力が強いと読み替えるのも可