ROOM NO.1301―おとなりさんはアーティスティック!? 新井輝 

ROOM NO.1301―おとなりさんはアーティスティック!? (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301―おとなりさんはアーティスティック!? (富士見ミステリー文庫)

genesisさんとか、Erlkonigさんのとことかで話題になってて、好きな作品なので読み返してみたり。


僕は「小説の神は細部に宿る」っていうのを割と信じている人なのですが、そういう意味で特に面白かったです。
この小説の面白さの一つとして、登場人物の価値観に触れることがあると思ってます。綾さんとか間違いなくユニークで、自分の理屈で物事を考えているので、そういう考え方あるんだみたいなものが結構あります。*1
例えば絵を描くということについて、正確に描くのはそんなに難しいことじゃないと言い、そのときに大事なのは「見るってこと」だと言います。何も見ずに顔だって思うと小学生が描くようなものになっちゃうけど、そのときに目*2と思い込まずに、健ちゃんの目、つまり今描こうとしているものそのものを他と比べてどうかというのを忘れるほどじっくり見ると。
僕は絵とか描けない人なんで、この考えの妥当性が実際どの程度のものかはまあ分かんないんですけど、こういう考え方って結構面白いと僕は思うんですよね。
健ちゃんがホタルにしたことについての綾さんの話とかも、私はこう思うと言って終わるのではなく、それはこういうこと?とか、なんで?とか、一つ一つじっくりと話に付き合ってくれてるところとかすごいいいと思うんですよね。押し付けではなく、話を聞いてくれているっていうのは貴重なものだと思うので。


こういうのを一つ一つ気にしながら読んでいくと、かなり面白く読めるんじゃないかなーとか僕は思ったりするのですけれど。

*1:この作品だとかなりの人がユニークな考え方をしてると思ってますけど、とりあえず

*2:一般概念としての