GOSICK〈6〉ゴシック・仮面舞踏会の夜 桜庭一樹

ネタバレっぽい感じで。
個人的には一弥の位置付けが興味深かったです。はっきりと子供の側だと思っていたので。


ヴィクトリカに「大人の男になろうとしているのかもしれん」と言われているところでそう思ったのですが、最後の、ヴィクトリカは「木こり」と話し、一弥は「公妃」と「死者」のことを知る場面でもそういったことを感じました。
ヴィクトリカは「木こり」に逃げるように言うのですが、「逃げる」って桜庭一樹さんの作品で結構重要なところだと思ってます。推定少女でも少女には向かない職業でもそうなんですが「逃げる」ということは、大人になることから逃げる、そして逃げ続けなければならず、いずれ追いつかれてしまうということであって、こちらからそれをどうにかしようとするものではないです。あくまでできることは逃げることのみで、追ってくるものを何とかするわけではありません。
それに対して、一弥は誇りを持ちながら立ち向かう、高潔でかつ大人になろうとするというのがかっこよかったです。p65ページあたりの、いざというときに大人を頼ってしまう「木こり」と自分で立ち向かう一弥というシーンもそういうところがよく表れているのではないかと感じました。