Gift 〜eternal rainbow〜感想 その2

莉子にとっての本質は彼女とGiftの関係についてなのですが、その問題が解決した直後、前回述べた一つ目の問題、霧乃と約束をしたのにそれを破ることになってしまったことが現れてきます。莉子にとって自分とGiftの関係だけで精一杯でそちらの方まで余裕がなかったのですが、霧乃にGiftまで使って春彦を手に入れたと言われて、もともと自分からの約束であること、Giftを使ってしまったという事実があるので言い返すことができません。晴彦の「莉子のGiftとは関係ない。俺はずっと莉子を…」という言葉も激情した霧乃には届かないので、霧乃にとっては莉子はずるをして晴彦を奪っていった相手という事になります。
莉子が記憶を失うまでもここと同じです。莉子は約束は自分から言い出したこと、Giftを使ってしまったことによる負い目で、別れてもう会えなくなってしまうと思ったからとか、自分自身がGiftを使ってしまったことを後悔していたため、人にそのことを言える心境ではなかったということを説明できず、そのため、霧乃は莉子が一方的に約束を破り、晴彦を手に入れたと思ったままです。
そのため、霧乃は莉子の記憶を奪うのですが、やはり彼女もそのことの歪みを感じ、10話でその苦しみが描かれます。


また、この回で霧乃がピアノを弾けなくなった理由が晴彦が発表会に来てくれず、糸電話を切ってしまったからという事が分かるのですが、これってどちらが悪いということではないと思うんですよね。あの年齢で、大切な人がいなくなってしまって悲しんでいる晴彦に人のことまで気遣えというのは無理だと思うし、大切にしていた糸電話、晴彦との関係が切られてしまったことを悲しむ霧乃が悪いということでもないと思います。


三人共に言えるのですが、自分のことで精一杯なときに誰かに悪いことをしてしまったことは、果たしてその人が悪いと言ってしまっていいものかどうか、ということを思います。