かしまし

はずむ君の

怒んないでね
みんなの気持ちわかってるから
僕にはわかるから

という言葉を聞いてはずむ君の顔が見えるようになったやす菜のことを考えていたら、今木さんの

小さい子にこそ、無言で抱きしめるよりは言葉が必要で、たとえば子供ってのは、誰かに「おお、かわいそうに」と言われて初めて泣き出す。感情はまず正当化されなければ、いいかえれば誰か他人によって認められなければ感情として存在できない。まあ、それが現実の他人である必要はまったくないけれど。君はいま、さびしい、って思ったんだよ(友永勇太)、と誰かが言わなければならないってことはあるもので。
忸怩たるループ 0111

を思い出しました。


もちろんはずむ君はこのセリフを花に対していったのであって、それをやす菜はたまたま聞いただけだったんですけど、「さみしいという言葉の意味すらきっと知らなかった」やす菜が必要だったのはこの言葉だったと思うんですよね。


やす菜は私はひとりでだって生きていけると言い、そのことを別にかまわないと思っていました。話してみたいと思う人なんかいなくて、周りには自分のうわさ話をする人だけで。
そんなやす菜に対し、じっと耳をかたむけるような、優しく向き合う姿勢のはずむ君の言葉だったからこそ、それは届いたのだと思います。