STAR DRIVER 輝きのタクト

「お前の息子は、お前と同じだ。他の人間には見えないものが見えている」
「一体あいつには何が見えてるんだ」
「俺やお前にはもう、見えないものさ」

タクトによって執拗に繰り返される「僕には見えている」という言葉。ザメクの王の柱の中で、「一面の青い闇の中で、自分の居場所も進む方向も分からないまま」でも見えるもの。「実際には」周りは一面の青い闇で、何も見えません。でも、彼はそれでも見えていると言います。それは実在しているものではなくて、タクトの中だけにあるものです。
そしてそれは、今あるものとは違う、未だ現れていないもっとすごいものではないかと思うのです。無いものだから誰も見たことがないし、分からない。


対照的に、スガタは今見えているものを大切にする人だと思います。
「与えられた役割を演じるのは得意なんだ」という彼が、ラスト「凄い空だな」と言い、タクトが「ああ……。でも、僕たちはこれから……。これとは違うもっとすごい空を、きっと見るさ」と返すのは本質的で。
「本来ならばこの物語の主人公はスガタであるが、タクトが来たことによって変わってしまった」*1みたいな話がありますけど、タクトが来る前、スガタの物語であれば現状見えている最善になると思うのです。例え彼が犠牲になるとしても。
ただ、タクトの物語は、未だ見えていないもっと良いものを見出す物語である。
「人生という冒険はつづく」という言葉によって閉められるこの物語は、この先のもっとよき可能性*2を見せて終わるものだったと思います。


真面目な話はこれくらいにして、ヘッドの「何が綺羅星だよ、馬鹿馬鹿しい」はマジ名台詞だよなーと思いますよ、ほんと。タクトに向けてツナシ家のサイバディとか言いつつ、同じ男から剣を教わったとか言う辺り、ほんと屈折してるよなーという。本編終了後はサカナちゃんに土下座するんだ!という感じですねwwww。