キラ☆キラ きらりについて

ネタばれで。


きらりがマイクを取りに戻った理由ですが、みんなのきらりではなく、個人としてのきらりが出てきたからではないか、と不意に思いました。


きらりって、

「こんなの、わかっててやってるだけだよ。全部ぶりっこだもん。だまされちゃだめだよ?」

みたいな、それ単体としてみると恥ずかしがっていたり、謙遜していたりするようなことを結構言っています。本当のことを言わないことは鹿之助と似ていると、彼女は言っていましたが、きらりってそういう人だと思います。
きらりエンド2で、

「我慢して一生懸命頑張ってれば、いつかもっと家族みんなで仲良く暮らせるハッピーエンドが来るって信じてたんだ……。バカみたいでしょ?」

って言っているのですが、エンド1でやってたことってこれで、ある意味では、個人としてのきらりを殺し、みんなのきらりとして生きると言う事だと思います。


そして、こんなにできる理由として、きらりは、人は誰でもすぐ近くにある手の届くものを一つ一つやらなければいけない、ステキなものを忘れないようにしながらと言います。
辛い事だけでは、いくらきらりでも耐えられるはずがないので、「ステキなものを忘れないようにしながら」というところが彼女の支えになっていると思います。


きらりは、

「それはね、いつかね、大人になって、皆が集まって、またバンドを組もうってなったときに、あたしの作ったやつやれたらいいなって思って。そういうのって、なんか良いでしょ?いい大人になったみんながね、若いときのことを思い出しながら、一緒に演奏するの」
「いい大人って、どれくらい?」
「五十歳くらいかな?」

と言っていました。現在が避けようもなく辛い場合に支えになるのは、幸せだった過去か、幸せになりうる未来で。その証として、みんながくれてこの夏の象徴であったり、「ステキなもの」があるのだということを忘れないようにするための、ガイコツマイクだったのではないかと思います。


でも、これって、今望みが叶わない事を受け入れて、しかも、五十歳なんてところでしか自分の望みを言う事ができなかったり、ありふれたなんて言われるマイクに全てを託さざるを得ないような、ほんのささやかな望みです。たったこれだけのものを守ろうとした事によって、きらりの命が奪われてしまうなんて、とても残酷で、ひどいと思いました。