sola 九話

久弥直樹さん原案、脚本のsolaについて。全部をまとめて語りたいんですけど、それやるといつまでたってもできないので、ちょっとずつでも書こうかと。


ネタばれです。
剛史と繭子から。
九話「ヤクソクノハテ」がかなり気に入ってます。


約束というどういうものか。やはりこれは、相手あってのものだと思います。
約束の効果は、相手にこのことをしたいという意思の表明だとか、相手に言うことにより自分へプレッシャーを与えるとかいろいろ考えられますけど、一方的に宣言して、それを実行すればよいというものではないです。必ずしも、約束した内容の成就を持って意味を成すというものではありません。
実行の段階にまだ至らない、約束そのものがその役目を果たすということだってありえるし、約束をかなえようとしてきた過程こそが意味を持つかもしれません。相手のためが本来の目的ですから、受け取り手にとって、どんな価値を持つかがその価値となります。


剛史にとっての約束は、「繭子を元に戻す」というものでした。でも、繭子に誰かを犠牲にしてまで戻りたくないと言われたため、自分のやろうとしてきたことが出来なくなってしまいます。でも、繭子にとって剛史との約束は「繭子を元に戻す」というものではなくて、それと一緒に言った「それまでずっと、俺が繭子の傍にいてやるから」でした。つまり、繭子の願いを叶えようとした剛史の行動は既に繭子の願いを叶えていたということになります。この、既に願いをかなえていたとか、相手がいることによる自分の考えとのズレとかがすごくいいと思いました。
例えば剛史が繭子に何も言わずに一人で「繭子を元に戻」そうとしていたら、叶えられないと知ってしまった時にそこで終ってしまいます。でも、今回はその受け取り手である繭子がそこにいることによって、それまでのことは無駄ではなかったということがわかります。
誰かがいてくれたおかげで、一人ではどうしようもなかったことがなんとかなったということからも良いし、自分がなそうとしたことが実際にはできずに終わったとしても、他人とのズレによって、正しいことができたという余地も良かったです。