メイド刑事 早見裕司

「あたしたち本物のメイドは、自分の意思で、生きる道を選んでるんだよ」


総じて、この作品で描かれる、一流とか本物とかで表されるような人は、外界の刺激にそれほど左右されない確固たる自分というものを持っているように思います。第1話の奥様なんかは、愛した対象から傷つけられてしまうという報われない愛情に対しても、それでも自分の意思の元にそれを貫きますし、御主人様であっても理不尽なことであれば止めるメイドというのもそうです。
また、作中、ここ十年のはやりに惑わされて品格を落としたという人が、本物ではないと言われるのもそういうことだと思います。


そうした確固たる自分というものを持った人がメイドとして描かれるので、御主人様を愛するということに対しても、御主人様を愛する自分を愛する、誇ることができることがメイドとしての理想という感じになっています。自分に誇ることができるように、御主人様に対して無条件に従うのではなく、それが仕える御主人様もそれに相応しい振る舞いというものを求められるんですよね。葵は自分が出した料理のソースの扱いに対しても人間性というものを判断していますし、葵の御主人様は紅茶の味がわずかに違っているところからメイドの調子の変化を見抜くとかしています。


そういった本物の人とか、その人達の関係における振る舞いがかっこよく、面白かったです。


追記
今木さんのところでは、武士っぽいという受け取り方でしたけど、僕的には西の魔女が死んだの「上等の魔女は外界の刺激に動揺しないのだ」なので、魔女かなとか思っていたり。