マブラヴオルタネイティヴ

ネタばれします


それぞれの意思でそれぞれにとっての最善を行う
無数に分岐する世界の中で、それぞれの意思の力によって最良の可能性を秘めた未来を選び取ることができるマブラヴオルタネイティヴは、君が望む永遠と同じく、選択という行為に非常に重きが置かれていたように思います。


そして、この最良の可能性を選び取るという力は主人公だけのものではなくメインキャラクターの多くにあるものであり、かつ、あくまで最良、betterであってbestではないものです。決して万能ではありません。結果としてこの作品では多くのメインキャラクターがラストまでに死ぬこととなりますが、この最良の未来を追求した結果なんですよね。
作戦を成功させた上で、誰一人として失いたくないという甘さを武は最後まで持っています。その甘さがあるからこそ却って周りは武のことを尊く思い、迷わせないようにと自分たちが武のことを思っていることを伝えないようにします。


ギャルゲーって選択肢があるので主人公の選択するという行為が非常に重要視されるようなところがありますけど、この場合には主人公の気づかないところでそういった選択をそれぞれのヒロインがしているわけです。しかも、自分が選ばれることがないということをそれぞれ自覚した上で。
自分の思いが武にとって負担になってしまうので、そのことを告げることはあ号標的での冥夜、作戦終了後の遺書など特殊な状況を除いてはありません。冥夜はベータに捉えられ、彼女ごと撃つことを躊躇った武に対し、せめて愛するものの手で逝きたいと自分の思いを告げることに対し自分の弱さだと言いますが、そこまででなければ決して思いを告げることをしなかった彼女やほかのヒロインたちは非常に強いと思います。


武に選ばれた純夏も決して弱いということではなく、武が元の世界に帰ってしまうこと、自分は作戦終了後も生き残ることはできないことを知りつつも皆のために戦います。
そして、純夏は武が帰る元の世界を悠陽、霞がいる、武にとっては都合のいい世界でも、自分にとっては都合の悪い世界にします。これは、武のためということはもちろんあると思いますけど、むしろ選ばれなかったヒロイン、自分の嫉妬によって迷惑をかけてしまったヒロインたちのためではないかと思います。自分の無意識ながらものループ世界を繰り返すということをしてしまった純夏が、その償いをするとともに、エクストラの皆、差がない世界で武を巡っての戦いを正々堂々しようということではないかなと。
アンリミテッド、オルタネイティヴは悠陽なんか一番顕著ですけど、それぞれの家族や生まれなどの影響による影響があり、正々堂々というのはなかなか難しいので、エクストラの冥夜が金持ちであるくらいの差がそれほどない世界のほうがそれぞれにとっていい意味で闘いやすいので、全員がいる世界というものを最後に持ってくるとするならエクストラのほうが適していると思います。
こういうことを踏まえると、エンド以降は描かないのが一番いいんじゃないかと思っています。エクストラであっても誰を選ぶかということをいずれ決めなければならないので、未だ確定していないというところで止めておいて後は受け手に任せるというのがいいと思うので。個人的には武ちゃんのことを絶対に忘れないんだと日記を何度も見返していた純夏にならないかなと思いますけど、あくまでこれは自分の好みですしね。


主人公だけでなく、それぞれのヒロインがそれぞれの意思を貫いたマブラヴオルタネイティヴという作品は非常に良くできた作品だったと思います。
延期はやっぱり問題ですけど、まとめて出されるとさすがに長くてきついですし、オルタの印象(グロとかの噂)にエクストラのプレイまで影響されそうなので、エクストラ、アンリミテッドから一年くらいで発売するのが良かったんじゃないかと個人的には思いますが、何がベストかと考えるとなかなか難しいところです。
今作は質は問題ないと思うので、次回作は延期しないで発売してほしいですね。アージュの活躍に今後も期待しますということで。