塩の街―wish on my precious 有川浩 (ISBN:4840226016)

はてな年間100冊読書クラブ 026

街中に立ち並び風化していく塩の柱は、もはや何の変哲もないただの景色だ。


人が塩となる塩害により、社会が崩壊しようとしているなかで静かに暮らす男と少女は、その世界での人との出会いにより、二人の関係を変化させていく
そんな中、「世界とか救ってみたいと思わない?」と囁く男が現れ…


空の中、海の底などで有名な有川浩さんのデビュー作
両作品とも非常に気に入ったのでこれも読んだわけですが、これもすごく気に入りました


それぞれのエゴの描写が素晴らしいです
世界の崩壊を前にして、それぞれが利己的に(というと聞こえ方が悪いので、自分の大切なものを守るためにくらいとして未読の人は受け取ってください)必死に行動するさまは、かなりきます


愛する人を守るためなら死んでも良いとかは所詮個人のエゴでしかないんだけれど、自分が心から、本当に強く思うからこそ、重くそして強い
そしてそれこそが世界を救うものとなる


ハッピーエンドが好きな人としては、このエゴが導いた結末が非常に好ましいです