ビートのディシプリン〈SIDE4〉 上遠野浩平

ビートのディシプリン〈SIDE4〉 (電撃文庫)

ビートのディシプリン〈SIDE4〉 (電撃文庫)


ファウスト vol.5 (講談社 Mook)での元長柾木さんの上遠野浩平作品の評論の、成長に関する概念がいまいちぴんとこなかったのですが、これを読んでそれなりに分かった気がします。成長しないっていうのはつまり、RPG的な、世界をどうにかしてしまえるぐらい底なしに強くなることはないってことではないかなと。
作中で言われるように、ピートの能力それ自体はもう進歩することはありません。そして世界とそのまま戦えるほど強くはない。だからこそ、「敵を知り、己を知れば〜」ってやつじゃないですけど、それと向かい合う自分っていうものに行き着くんだと思います。
成長するのではなく、自分のことについて追及と研鑽。
結局のところ、人は、自分を通してしか世界と関わることが出来ないわけですからね。


無限の成長というのは実際にはありえないし、何かの才能で一位になるなんてことは実際にはほとんど不可能なわけです。だからこそ、誰にでも当てはまる「自分について」っていうのは非常に興味深く読めました。
このシリーズがどこへ行くのか分からないですが、今後も期待してますよ。



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