赤×ピンク (ファミ通文庫)感想

はてな年間100冊読書クラブ 031
ちょっとコメントしてきたので、赤×ピンクについて自分なりに考えてみました
少女たちの通過儀礼 〜「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と「推定少女」〜に思い切り影響を受けてます
以下はネタばれありです


この話は檻に閉じ込められた、抑圧されている女の子たちが、そこから出るまでの物語だと思います
その檻というのはキャットファイトでの八角形の檻という意味だけではなくて、まゆならば小さな頃入れられていたフェンスによるトラウマであり、ミーコは周りに期待される者であれということであり、皐月ならば心は男にも関わらず女として振舞うという抑圧のことです


桜庭一樹さんの作品では、「行きては帰る物語」での、帰るというプロセスが女の子にとって非常に重要なものとなっていると思うのですが(上のページ参照)、この赤×ピンクでは最後に悪い結末になった女の子はいないため、帰るというプロセスが成功していると思われます


そこで、この物語でのそれぞれを考えてみると、まゆは虚構である檻から連れ出され、結婚という日常へと帰ることとなり、ミーコはSMクラブという虚構をやめ、自分に課せられていた物語から抜け出て、皐月は体は女であるから女として振舞おうということをやめ、自分は男であるということを認めます
全員(比喩的な意味での)檻から出ることに成功しているため、それが帰ることに相当しているのだと思います


これ書きながらこのライトノベル作家がすごいのインタビューを読んでたのですが、子供の持っている閉塞感とかが読みたかったという趣旨の文があって、登場人物の住んでいるところが地方であることも含め、抑圧感っていうのもテーマの一つなのかなと思いました