忘却の旋律

忘却の旋律 1 (通常版 初回出荷限定価格) [DVD]

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第一部「メロスの戦士」編

二十世紀に人間とモンスターとの大戦争があった。
激しい戦いの末、勝ち残ったのはモンスターの方だった。
 時は流れ新世紀、かつての戦争を忘れていった人間達、そんな中、学校で教わる教育に不満を抱く少年ボッカは、メロスの戦士、"黒船"と出会う・・・ (OHP第一話紹介より)


モンスターに支配されているという意識すらほとんどない占領下の世界。そこでは、メロスの戦士のみが彼らに立ち向かおうとする。


モンスターに支配されることによって、確かに皆利益を得て安定した生活を送っている。そのためにあるリスクに対して、「自分だけは大丈夫」という根拠のない思い込みの上で。だから、がねっ娘は生贄としてさらわれる。そういった社会を肯定するということはつまり、それのリスクを受け入れるということと同意義であるから。


その中で、メロスの戦士というものは、その占領下の上での常識、社会という物に対して疑問、あるいは反感を持った人だ。だから、現状の社会の大多数の人にとっては、迷惑な存在でしかなくむしろ害悪ですらある。彼らは社会秩序を乱すであるから
占領下といっても、あくまで被害を受けるのはごくごく一部でしかない。そういった被害は、実際に目撃するまで認識することはない。


がねっ娘の父親がそうだ。娘が生贄になると知って、初めてモンスターの危険に気がついた。本来そういった危険があるということは誰もが知っているはずなのに、自分のこととして起こってみないとそう認識することはない。あげくに、いざ危機に陥った時に出来ることはほとんどない。
教師の存在は、占領というものに対する個人の立場だ。占領はあくまで民衆全体を相手にする物であって、個人そのものを相手にしているわけではない。だから、ホルにとってはどうでもいい存在である。


黒船の
「君は選ばれたわけじゃない
これから君が選ばなきゃいけない
そして、選ぶなら覚悟がいる」
という科白は、反社会的存在であるメロスの戦士になるということは、ある意味確かに、選ばれたという「特別な存在」である。ただしそれは、特別な者であるという選択をし続けるということであり、それに見合ったリスクを受け持つということでもある。


最初は特別な存在への憧れと今の社会への疑問を持っていただけだったボッカが、今の社会の醜さを見て旅立つ。答えを探して。