夏と花火と私の死体 乙一

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

乙一は、GOTH、スニーカー文庫の三冊、平面いぬ、暗黒童話と結構読んでいるのだけれど、未だにそのデビュー作を読んでいなかったのだがやっと読んでみた

この小説の素晴らしさは題名の通り、田舎の夏の光景と、死後、それはまるで神であるかのごとく出来事を見続ける私だろう

この「夏」の描写は本当にうまい
それこそまず現物を見てくださいと言う感じ
私については、小説で一人称と言うのは当たり前の表現なのだけれど、これはそういった単純な一人称ではなく自分の死体を眺めると言う幽霊でもないなんだかよく分からないものとして語られる
こういった独自性を持ち、デビュー作でそれをうまく扱うというところも話題になった理由なのだろうと思った

ファウストの文芸合宿のものも、読み返すといろいろな伏線があり短い時間ですごいと思ったのだが、この作品でも本当に自然にそういったものをいれてくると思う
特に緑の科白は鬼かと思った